“IPv6にすると回線速度が速くなる”とよく目にしますが、必ずしもそうとは限りません。
同じIPv6でも接続方式などの違いにより、メリットとデメリットは変わるのです。
これを踏まえて、IPv6の接続方法の違いとそれに対するメリットとデメリットを見いていきましょう。
IPv6のメリットとデメリット
一般的に言われているIPv6のメリットは
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こう見ると、今のところ直接メリットを感じるのは“回線速度が速くなる”こと位です。
しかし、このメリットも接続方式により変わるので注意しなければなりません。
一方、iIPv6のデメリットですが
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などがあげられます。
具体的に言えば、特定ポートを使う通信型ゲームやネットワークカメラ、050IP電話などがこれにあたります。
徐々に増えてはきているものの、IPv6接続に対応しているサイトやサービスはまだまだ少ないのが今の現状。
これだと幾ら回線が速くなっても、既存のサービスが速くならないのであれば意味はありません。
ただ、接続方法でメリット・デメリットにも違いがあるので、具体的にみていきましょう。
接続方法によるメリットとデメリットの違い
まず、IPv6と言っても、接続方法と通信技術により、
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と3タイプに分けられ、メリットデメリットが少し違っています。
この少しの違いが重要になってくるのでチェックしてください。
※注意
この記事を書いた時よりも、各プロバイダの対応状況は大きく変わりました。
現時点では、主流のプロバイダならIPv6といえば、IPv6(IPv4 over IPv6)のことなので、そこだけ注目しても大丈夫です。
IPv6 PPPoE接続方式
回線速度がは速くなりません。
現在の接続方式はIPv4 PPPoE接続方式であり、同じPPPoE接続方式である為に従来の速さと変わりありません。
現時点でユーザーが感じるメリットはこれといってないでしょう。
メリット
対応プロバイダは多い
デメリット
速度が速くなる訳ではない
IPv6 IPoE接続方式
IPv6対応サイトでは速くなりますが、IPv4対応サイトでは今まで通りです。
IPv6対応サイトは速度が速くなる事が期待できるIPoE方式で接続されます。
しかし、IPv6に対応していないサイトでは従来のPPPoE接続方式に切り替わるので今までと同じ。
現時点でIPv6に対応しているサイトは少ないですから、あまり意味が無いように思えます。
今後は対応サイトも増えてくるでしょうから、そうなるとメリットも大いに活かされるでしょう。
メリット
IPv6対応サイトは速くなる
対応プロバイダはそこそこある
デメリット
IPv4対応サイトでは変わらない
IPv6(IPv4 over IPv6)
IPv4、IPv6対応サイトのどちらも速くなります。
IPv6 IPoEは、IPv4対応サイトだと意味がありませんでした。このデメリットを解消するのが、IPv4 over IPv6です。
簡単に言えば、「IPv4対応サイトでもIPv6のIPoE方接続方式を利用出来る様に共存させる技術」。
それでも、すべてのデメリットが解決された訳ではなく、固定IPや特定のポートを使うサービスを利用できるわけではありません。
3つの中では、これが一番理想的であり、オススメ。
メリット
IPv4、IPv6対応サイトのどちらも速くなる
デメリット
それでも固定IPや特定のポートを使うサービスには使えない
対応プロバイダはまだ少ない
接続方式による速度の違い
接続方式 | IPv4対応サイト | IPv6対応サイト |
---|---|---|
IPv6 PPPoE | 遅い | 遅い |
IPv6 IPoE | 遅い | 速い |
IPv4 over IPv6 | 速い | 速い |
どのサービスを使えばよいか
もちろん、 IPv6(IPv4 over IPv6)が利用出来れば申し分ありません。
ただ、この技術にも提供通信事業者により種類が違ったり、サービス名が違ったりとややこしい事に・・・
特に技術的な差はないので、
- どの通信事業者だと利用出来るのか
- サービス名は何というのか
を抑えておけば大丈夫です。
これを一覧にまとめたのが、下のものです。サービス名とプロバイダに注目しましょう。
通信方式 | DS-Lite | MAP-E | 4rd/SAM |
主な対応事業者 | mfeed | JPNE | BBIX |
サービス名 | transix | V6プラス | ハイブリッド・サービス |
主なプロバイダ | IIJmio InterLink |
@nifty So-net GMOとくとくBB |
SoftBank |
補足ですが、IPv6 IPoE接続方式を扱う大本の通信事業者をVNEと言い、このVNEから2次提供を受けたプロバイダがサービスを提供しています。
この他にも、BIGLOBEやOCN、ぷららの様にプロバイダ自体がVANであり、IPv4 over IPv6を独自のサービスとして提供する通信事業者も。
IPv6 (IPv4 over IPv6)を使うなら、まずは、これらのプロバイダが提供するフレッツ光や光コラボの回線から選んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
厳密に言えば、同じIPv6でも接続方式などの違いにより、メリットとデメリットは変わってきます。
現時点で我々ユーザーがIPv6を利用する一番のメリットは、「回線速度が速くなる」事です。
ただし、その為には接続方式に注意する必要があり、更に利用しているサービスを快適に使うためには扱うプロバイダにも注意しなければなりません。
回線速度に困っていないユーザーなら無理に使う必要はないのかも。
デメリットで言えば、IPv4 over IPv6の技術により「IPv6対応のサービスしか使えない」は、ほぼ解消されたものの、「固定IPが使えない」「特定のポート開放が使えない」というデメリットは、まだ残っています。
将来的には、シフトチェンジする方向に向かっているIPv6。実際、対応サイトやサービスも徐々に増え始めています。
もし、NTTの光回線網を利用しているフレッツ光や光コラボを利用していて、回線速度改善のためにIPv6を利用するなら、接続方式によりメリットとデメリットが違うことに注意してプロバイダを選びましょう。